インタビュー

H.Hさん 看護師8年目 

今のお仕事や従事されていることは?

看護師8年目です。

この春に手術部から救命センターに移動しました。

ICU、救命センターに研修へ行った時
聴診や口腔ケアを初めて行いました。

新人から手術部で働いていたため
「ケア」を行う機会がなかったのです。

研修中は、人工呼吸器・麻酔科に関連した講義を聞き
「もっと学びたい!」と刺激を受けました。

それに加え、
救命センターでは手術部での経験者や
人材を求めていると聞き、
思い切って移動願いを出しました。

移動されたのですね。新しい職場はいかがですか?

とにかく業務に追われています。
だから患者さんとどう関わればいいのか・・・。

また、自分は家族との関わり方を知らないんだ
ということに気づきました。
手術部にいた頃は、術前・術後訪問には行っていましたが、
家族と関わることはほとんどありませんでした。

そんな時、医師が「そこを疑問に思うことが大事だよ。」
と声をかけてくださり、少し楽になりました。

手術は無事に終わることが大前提で
社会復帰することの方が大事ということにも気づきました。

「手術室って、いいとこ取りって正直思いましたね。
手術が無事に終わってよかったね。」で終わりなので。

患者さんとの関わりに悩みがあるのですか

救命センターにいらっしゃる患者さんにとって
清拭、口腔ケア、陰部洗浄などは大切です。

ICUに研修に行った経験の中で
IUCの患者さんはとにかくケアが行き届いていました。

業務に追われる中で、「モニターみてなんぼ」
と言われながらも自分が患者さんに
何が出来るのかと考えさせられました。

一方で、
「そもそも自分は看護師に向いているのかな。
このまま人生終わっていくのかな・・・。」
と思いました。

移動は「在り方」を考えるきっかけに

手術部にいた頃、病棟から手術室へ移動した
スタッフの教育担当をしました。

「自分が(移動してきたスタッスと)
どう関わっていいかわかりませんでした。
そのスタッフは弱音を吐かずに
黙々と仕事をしていたんです。」

自分がICU、救命センターへ行く機会があり
「違う場所に行くってこんなにストレスがあるんだってことに
気づいたんですよ。」

それってどんなストレスですか?

「物品の場所もわからないし、スタッフも知らない。
誰に聞いてもいいかも分からない。
何をするにもストレスでした。」

そんな時、ふと教育担当しているスタッフに対して
「きっと〇〇さんもストレスだったんだろうな・・・」
と気づいたんです。

研修が終わって職場に戻った時、スタッフへ謝りました。

「職場を移動するってこんなにストレスとは思わなかった。
そこに気づいてフォロー出来てなかった。ごめんね。」

素直に伝えるって素敵ですね

「ありがとうございます。」

そのスタッフが、「それだけで嬉しい。」
と涙を流されたんですよ。

ご自身が移動され今思うことはありますか

「自分が選択できるんだから、早く自分で調べればよかった。」
って思います。

今までの自分の働き方、態度、姿勢を改めさせられました。
そして、自分が関わる環境が大切を感じています。

 

インタビューを終えて恩村の感想

今いる環境で気づくこともあれば、気づけないこともあります。
大人になると「ごめんね。」って思っていても
意外と言えないことの方が多いかもしれません。

Hさんのように、自分が環境に身を置いて初めて気づくことがあります。
その時、自分がどのように受け止め行動をとるのかが
大切であると感じました。

Hさんが教育担当していたスタッスさんも素敵だし
Hさんの行動力にも脱帽です。

このような看護師さんが職場にいると
離職するスタッフが減る可能性も大いにあるのかなと。

自分を取り巻く環境は
行動や考えに新たな気づきをもたらすのですね。

 

インタビュア:恩村 麻友己